cotojoki 2019 300 × 4300 mm 森で見つけた動物の死骸に、死んでしまった飼い猫を重ね、どんなおばあちゃんの中にも、もういない祖母を見る。 山で遭難して死ぬ思いで下山すると、道端で、静かに息を引き取った蝶と出会った。死んだのが蝶だったのか私だった のかは、誰かにとってはどちらでもよかった。その身体の上にそっと、やわらかく土をかけ、手を合わせる。 行って帰ってくると新しいものが生まれていた。と同時に、いつくかのものは消えてしまってた。 誰かの物語がいつでも始まり、終わっている。 毎日水を与えた野菜たちは、昨日より大きくなっていて、明日には私に食べられる。 祖母の家の、彼女の立っていたお台所で彼女の得意だった煮物を作るがあの味にはならない。 もう本当に絶対に、二度と触れられないものが増えていく。まあいいです、しかたない、と、食べる、別に悪くはない 美味しさがあった。 お母さんがいつか死んでしまうのが怖い。 焼かれたものの骨を箸で丁寧に拾いながら、いつか私の骨を拾うもののことを考える。そのものは私のことを好きだろ うか。ねえどんな気持ち?と今ここでは聞けない。せめて拾われている私の骨がその時嬉しいといいなと思う。 今年こそはきっと、どこにも似ていない森をあるこう。 |